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南明寺の糸桜

農家の間を入っていくような登り口

萩の桜の咲き始めといえば、やはり南明寺(なんみょうじ)の糸桜
たいてい3月中旬~春分の日頃に満開になるので毎年見損ねないように気にしているのだが、今年は気がついたらもう24日にもなっていた。「手遅れか!」と思って慌てて行ってみたが例年より開花が遅いらしく、ちょうどこれから見頃を迎えるところだった。今年は椿にも随分待たされたが、桜も一週間近く遅れているようだ。お天気にもよるが、今週末から数日ぐらいが見頃になりそう。今ちょっと冷え込んでるから、もう少し長く見られるかも。

 

この南明寺の糸桜(枝垂れ桜)がどれだけ早咲きかというと、昔から

 ♪南明寺ぃのぉイトザクラ~
 散っちゃあ行っちゃあ見ぃちゃああっても
 咲いちゃあ行っちゃあ見ぃちゃあナイ。

などと唄われてきたほど。
「↑って言われてもバリバリの萩弁でイミ解んねーよ!」という方のために翻訳すると、

 ♪南明寺の糸桜(は)
 (咲くのが早いので)散ってから言って見る人はあっても
 咲いている時に行って見る人はいない

という意味である。早口言葉風に韻を踏んでちゃーちゃー言いまくっているので、正直言って萩の人間でも意味がよくわからないんじゃなかろうか。でも南明寺の枝垂れ桜が早咲きであることは、この唄とセットで萩人の脳裏に刷り込まれているのである。

八江萩名所図画 「南明寺 花見の図」

これらの糸桜は南明寺の4代住職が植樹したとされ、樹齢300年と言われている。天保年間(1830~43)に編纂された「八江萩名所図画」にも南明寺の枝垂れ桜の下で花見をする人々が描かれているので、江戸時代から有名な花見の名所であったようだ。今でさえ見頃のタイミングを見計らうのは難しいのに、情報ツールの乏しい時代、城下の人たちはどうやって見頃を見極めて花見に出かけたんだろう。きっと最も早くに咲くこの桜を、今か今かと待ちわびていたんだろうなぁ。

 

かなりの老木だけに、近年衰弱が激しいように見受けられる。住職も心配してか、花見の季節には庭に出て、根回りを踏んだり、不躾に墓の敷地に入って撮影する不届き者(私のことでした・汗)がいないか目を光らせていらっしゃる。南明寺は糸桜だけがやたら有名になっているが、ご本尊の聖観音立像と千手観音立像という2体もの国指定重要文化財の仏像を持つ、古式ゆかしいお寺である。花見に行かれる方は、お寺の敷地で花を見せていただいていることを忘れず、マナーに気をつけられたし(反省・・・)。

なお、初めての方はカーナビに頼らず、萩駅前の観光協会で行き方を確認してから行くのがおすすめ。駐車場や入口がちょっとわかりにくいし、下手なところに入ると車が擦れ違えなかったり、いきなり農家さんの小屋の前に入ったりするおそれがありますから(笑)。

 

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