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しろうお漁 ~萩の早春の風物詩

萩に春の訪れを告げる「しろうお漁」。四つ手網による独特の漁が始まると、海からの風が冷たくとも なんとな~く「春が来たなぁ」とほっこりしてしまう。

この日は快晴。「獲れますか~?」とたっける(大声で呼びかける)と、「今日はぼちぼちじゃねぇ~」と漁師さん。

萩名物のひとつ「シロウオ」は、スズキ目ハゼ科、体長5センチほどのアメ色の魚。河口付近で孵化し海へ出て1年で成魚となり、翌年遡上してまた河口付近で産卵する。萩では水温む2月20日から本格的な春を迎える4月10日までが漁の解禁日とされていて、産卵のため松本川下流に遡上したところを獲る。小さな魚ではあるが江戸時代の記録によるとシロウオの漁獲に対する税【シロウオコク】、売上に対する税【シロウオギン】、上納品【シロウオキン】なんてのもあったらしいので当時はけっこうな収入源だったのかも知れない。現在はほぼ保存活動のような状態で水産物という感じではないが、しろうお漁の風景はやはり早春の風物詩として萩には欠かせないものである。

しろうお漁は、四ッ手網と呼ばれるこの漁の時以外は見たことがない特殊かつ原始的な道具で行われる。十字に組んだ竹に5メートル四方の網を張った四ッ手網を川に浸けて待り、頃合いを見計らって引き上げる。一見何も見あたらない網を漁師さんが長~い杓子でトントンすると、小さなシロウオがピチピチ跳ねながら網の真ん中へ集まってくる。それを杓子で掬う。どこの東南アジア?というような風景だが、江戸時代からの伝統的な漁法として今も受け継がれているのだ。

 

ゆるキャラ?

さて、よく問題?になるのが「シロウオ」という名前。美しい指のたとえとして知られる「シラウオ」は漢字にすると「白魚」で、サケ目シラウオ科に属する全く別種の魚。にもかかわらず、姿形や食べ方、漁の方法まで似通っているのでよく混同される。萩で獲れるのは正しくは「シロウオ」といい、漢字は「素魚」。でも、「素魚祭」とか書いてあっても字ヅラ的にそそられない(第一読めない…)し、萩のしろうお組合ですら「白魚組合」と表記してるくらいなので、あまりこだわらなくていいような気もする。ちなみに、シラウオは顔がヘラっぽくとんがっているがシロウオはずんぐりと愛嬌のある顔をしていて、大きな口はにっこり笑っているかのようにも見えてなかなか可愛らしい。おどり食いするまえにうっかり目を合わせようもんなら、ものすごく食べづらくなるので要注意。

萩も暖かくなってきて、やっと本格的なシロウオ漁の季節がやってきた。寒さの中からふっと春が顔をのぞかせる、そんな季節の一瞬を切り取る存在は、値段ほど旨いわけではないのに(笑)…と思いながらも、やっぱり毎年味わいたくなる春の味なのだ。

 (漁は松本川下流と姥倉運河で行われている。上の写真を撮った場所はこちら↓↓)

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